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イビキこそかいていないもののぐっすり眠っている美咲には、お婆さんの毒付く声は聞こえない。そんな美咲を見たお婆さんはしびれを切らしたのか、さっきよりもワントーン大きな声で、
「全く……ちょっとそこのあんた! 女の一人暮らしだろうに、窓開けっ放しで寝てるなんて危ないじゃないか!」
「う……ん」
お婆さんの大きな声で美咲がようやく目を開けた。だが、まだ寝ぼけ眼の美咲。目を擦ると「ふわぁ」と大あくびをした。
「おやおやなんだね、うら若き乙女ともあろう娘が……」
お婆さんが、あきれた声を出した。が、美咲は酔いも醒めきっていないようで、ボーッとしている。
そんな美咲に向かってお婆さんは孫娘でも見るような眼差しで、
「しょうがないねぇ。ま、あんたにチャンスをやろう。明日一日、運命の相手を見えるようにしてやるから、夜中に窓開けたまま寝るんじゃないよ!」
お婆さんの声に驚き、美咲はお婆さんを見あげた。
「あ、窓開けっ放しだったっけ?すみません……」
美咲は、素直に謝ったがハッとした。
……えっ、このお婆さんはいったい誰なの?!
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