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「………」 うとうとと、半ば沈みかけていた意識が電子音によって引き戻される。鞄の中のスマホを見ると、母親からのラインだった。 ―――『夏休みはいつ帰ってくるの?』 いつなんて決めてない。出来れば有名企業に勤めている姉とは比べられたくないから、帰りたくない。姉のことは家族の中では一番好きだけど、それと、姉と出来を比べられる苦痛を天秤にかけたら、やはり帰りたくない。それに帰っても家の畑の仕事を手伝わされるだけで何も良いことはない。労働が増えるだけだ。なら、住み慣れた此処に留まっていたい。 既読が付いてしまったので、手早く返事をする。 ―――「仕事が詰まってるから帰れない」 寝転がりながらそれだけ打って、スマホを手放そうとした、その時。 通知欄に見慣れないアイコンが付いている。吹き出しに郵便のマークだ。何かアプリを入れただろうか。思い返しても思い当たらない。一体何だろうと思って、そのアイコンをタップする。すると、スマホの液晶画面がまばゆいくらいに光って、閃光が啓太を包む。眩しさに思わず目を閉じると、啓太は不思議な感覚に身を包まれた。
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