お姉ちゃんの受験

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「お姉ちゃんが勉強してるとき翔太が隣でカチャカチャしてると落ち着かんやろ⁉ もし、お姉ちゃんの受験が失敗したら翔太も悲しいのと違う?」 「なんやねんそれ、カチャカチャやて?・・ファミコンはそんな音なんかせえへんわ!」  翔太にとってはお姉ちゃんの高校受験よりも、自分のゲーム機の方が重大事件なのだ。  まさかの展開である。これで私は自分の中では封印していた筈の「禁じ手」を使わざるを得なくなった。 「よっしゃ! 翔太、こないしょ! お姉ちゃんが高校入試に合格したら、翔太にはファミコン内蔵のテレビを買(こ)うたる! 今よりもデカいし迫力ある奴や!・・どないや⁉」 「えっ、ホンマに⁉ テレビごと、買うてくれるの?」 「そやがな・・テレビごとや!」 「せやけど、お姉ちゃんがもし、不合格やったら、どないなるの?」 「不合格やったら?・・そんな縁起の悪いこと言うもんやない!  こんな時はお姉ちゃんが合格するように云うて、家族みんなで応援するもんやろ!それが家族や!そやろ翔太⁉」 「うん、分かった!応援する・・合格したらやな、お父さんホンマやろな!」 「お父さん、今までお前に嘘ついたことあるか?・・無いやろ⁉ 親が子供に嘘ついてどないするねん!」
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