1章

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「うーん、実はこの人はこんな人でした! って話を聞くのは俺も好きだけど、想像するのはあまり得意じゃないな」 「そう? 」 「うん。そういや、もうそろそろ中間だな」 「⋯⋯まだまだ先じゃない? 」  今は四月。中間テストは五月中旬。まだ一か月もある。 「後、一か月しかないんだぞ? 」 「え? あと、一か月もあるんでしょ」  顔を見合わせて、首をかしげる。  ⋯⋯どうやら、お互いの認識に大きな差があるようだ。 「⋯⋯斎藤、いつから勉強してる? 」 「え⋯⋯二週間前だけど」 「遅すぎないか!? 」 「いや、普通だと思うけど⋯⋯。そういう鈴木はいつからやってるの? 」 「一か月前」 「⋯⋯早すぎない? 」 「じゃないと間に合わないだろ」  当たり前のように言う鈴木の顔を見つめて、気づいた。  あぁ、そうだった。すっかり忘れてた。こいつは⋯⋯鈴木は優等生なのだ。  昔は、私のことをがり勉呼ばわりしていたのに、今となっては鈴木のほうががり勉じゃないか。といっても、腹立たしいことに鈴木はこの性格のため、スポーツも勉強もできるなんてすごいとモテるのだが。  ⋯⋯見た目も程よいさらさらした黒髪で好青年だし。昔は角刈りだったくせに。  どうしてだろう。イライラが止まらない。 「鈴木のがり勉⋯⋯」
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