1章

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 この調子で続けていけば、鈴木も少しは歴史を好きになってくれるだろうか?  そうだといいなと本当に思う。  私は鈴木から色々なものを奪ってしまったから、何かを返したい。  だって、奪ったことに罪悪感は感じているけど、反省の気持ちは私の中に一切合切ないのだから。後悔はあっても。 「これって、どこまで歩くんだ?」 「疲れた?」  これから更に歩く予定だが、変更した方がいいだろうか?  この道はお世辞にも歩きやすいとは言えないし、しかも鈴木は私の手を引っ張ってくれている。疲労も2倍だろう。 「いや、疲れてない。けど……」  鈴木が目の前を指す。 「もう、線路終わるぞ」  線路は途中で途切れており、その先はない。だが、横に階段のようなものがある。 「横に階段があるでしょ? 」 「あぁ」 「あそこ登って、さらに進めば南禅寺につくから」 「へぇ」  階段を上り、さらに歩く。ふと、途中で鈴木が足を止めた。 「銅像が立ってるな」  小さい広場のようなところに銅像がぽつんと立っていた。  その周りを子供たちが駆け回っている。地元の子だろうか。  鈴木は銅像に近寄り、プレートの字を読み上げた。 「田辺朔郎博士像? ⋯⋯聞いたことないな」 「京都近代化の功労者だよ」 「功労者? 随分若いみたいだけど」
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