1章

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銅像から離れ、さらに奥へと向かう。横には森林が広がっており、流れている水の音が聞こえた。 「さっきと比べて人いないな」 「さっきが多かったから、ここ来るとビックリするよね」 「うん」  いざ、誰もいない場所で二人きりになると話題が思い浮かばない。 「⋯⋯斎藤はどこの大学行くつもりなの? 」  静かな空間に鈴木の声が響く。 「大学? まだ、考えてないなぁ」 「だよな⋯⋯」 「鈴木は? 」 「俺は、とりあえず関西圏の大学に行こうと思ってる」  家にそんなにお金があるわけでもないしなと鈴木がつぶやく。 「私もそれは同じかな。東京行ってみたい気もするけど」 「東京か⋯⋯」 「東京行って、博物館めぐりしたい。特に東京国立科学博物館」 「東京国立科学博物館⋯⋯。斎藤、理系苦手じゃなかったけ? 」 「うん、苦手、数式とか見たくもない」 「なのに、科学博物館? 」 「数式とかはやりたくないけど、原理を知るのは好きだから。それに、化石があるし」 「化石? 化石好きなの? 」 「うん」 「へぇ」  鈴木が驚いたようにニ、三回瞬きをする。 「初めて知った⋯⋯」 「あまり言ってないからね」 「じゃあ、理系に進めばよかったのに」 「⋯⋯理系難しかったから」  進めるなら進みたかった。でも、私にはとても難しく感じたのだ。
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