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「でも、その時代にそんなことを思いついて、しようとしたっていうのもすごいよね」
「⋯⋯ところで、歩いてきたところって山中貫いてたっけ? あ、でも隣に森はあったか。それに、豊臣の時代からなら計画も変わるよな。普通に」
ブツブツ呟いて、考え出す鈴木を見て素直にすごいなと感嘆した。
やっぱり、地頭が賢いのだろうか?
「⋯⋯凄いね。当たってる」
「当たってるって? 」
「何故、山中を通っていないのか。その着眼点」
「⋯⋯理由があるのか? 」
「うん。もともとは山中に水路を通す計画だったんだけど、計画していたトンネルに天皇家の分骨があることがわかって、計画変更となったのが現在のあそこ」
「なるほどな。その理由なら納得だ」
「この世紀の大事業の責任者として白羽の矢が立てられたのが、さっきの銅像の田辺朔郎だよ。凄くない? 」
「21だもんな。俺らと5歳も離れてない」
「ね。しかも、当時の工部大学校⋯⋯今の東京大学工学部を卒業したばかりで」
改めて、水路閣を見上げる。
「⋯⋯これね、建設当時は景観を壊すっていうことで猛反対にあったんだ」
「⋯⋯こんなにしっくり来ているのに? 」
ぽつりと鈴木が声を漏らす。
「うん。私も水路閣こそが魅力を放っていると思う。でも、昔は今でいうところのビルたてるような感覚だったから」
「あぁ⋯⋯それは反対されるな」
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