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券を買い、三門内部に入る。
三門内部は一つ急こう配な木で出来た階段があり、危険ですと張り紙がしてあった。
鈴木は張り紙をちらりと見て、そのあと階段を眺める。
「⋯⋯確かに危険そうだな、斎藤、先に上ってくれ。落ちそうになったら支えるから」
「え? ありがとう⋯⋯」
先に行くことを促す鈴木に軽く会釈をして、階段に足をのせて動きを止めた。
自分の下半身を見て、安心する。そうだ。今日はガウチョを履いてきたんだった。なら、私が先に上っても中が見えることはないだろう。
「斎藤? どうした? 」
「いや、なんでもない」
中身が見えるかどうかの心配をしていましただなんて、言えるはずもないので、苦笑いでごまかす。
⋯⋯さてと。
階段に手をかけた。階段は本当に急こう配で四つん這いにならないと、登ることができない。
私がここで落ちてしまえば、間違いなく鈴木を巻き込んで落ちることになるだろう。自分がどんくさいことは自覚しているので、慎重に足を踏みしめては階段に手をかける。
その作業を何回か繰り返して、やっと上についた。
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