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目の前に広がる景色を眺めた。目の前には、一本のまっすぐな道と森林が広がっており、その奥には京都の街並みがある。
「絶景かな、絶景かな」
鈴木がつぶやいた。
「⋯⋯石川五右衛門? この景色見ると言いたくなるよね」
「あぁ。確か、石川五右衛門って南禅寺だったよな? 」
「そうだね。歌舞伎の演目では南禅寺で言っている設定だよね」
「っていうことは実際は違うのか? 」
「この三門は応仁の乱で焼失したの。だから、石川五右衛門の時代にはまだなかったらしいよ」
「なるほどな。⋯⋯裏も見てみるか? 」
「うん」
歩き出した瞬間にツルッと足が滑る。
⋯⋯まずい。滑りやすいことを忘れていた。隣の手すりを掴もうとして、手がからぶった。
こけるしかないかと思ったとき、二の腕がガッと握られる。
「大丈夫か? 」
「あ、ごめん」
「いや⋯⋯、手握っとくか」
さっき離したはずの手に包まれる。
今日はほとんど手をつないでいるような気がする。⋯⋯こんなのでは、他の人から勘違いされないだろうか。
いや、でもここには知り合いがいない。なら、少しくらいほんの少しの時間ぐらいは勘違いされてもいいか。
そう考える自分の思考に気が付いて、意志が弱いなと嘆息した。
手を握る力が強められた。鈴木を見上げると、首を傾げられる。
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