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その顔を見ていると、強められたということ自体、私の勘違いなのではないかと思えてくる。
手を引かれたおかげで、無事こけることもなく裏につく。
裏からはさっきと同じように、真っ直ぐな1本の道とそれを囲う木々が見えた。唯一違う点は京都の街並みではなく、南禅寺本堂が見える点だ。
「こっちはこっちでいいな」
「そうだね……」
無言の空間をしばらく2人で過ごす。ぼーっと景色を眺めていると、人の声がしてきた。
振り向くと、徐々に人が増えてきているらしいことがわかる。話している言語から察するに、アジアの観光客のようだ。
どこの国の言葉だろうか?
考えていると、隣でぐーっと音がした。思わず隣を見上げると、鈴木は目を僅かに逸らしたあと、少しはにかむ。
「……お腹空かないか? 」
自分のお腹に手を当てる。すると、自分の贅肉がぷにっと手を押し返してきた。
「そうだね。空いたかも」
痩せないと。そう思う心とは反対に自然とお腹はすいてしまったようだ。
「だよな。降りるか」
「うん」
降りようと、階段の前に移動すると声をかけられる。……異国の言葉だ。
戸惑いつつ、話しかけた相手を見ると、スマホをこっちに出しながら大袈裟なジェスチャーをしている。
写真を撮ってほしいと英語で言っているのが理解出来た。
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