1章

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「そういえば、近々同窓会あるらしいよ」 「中学の? 」  私には連絡は入っていない。おそらく、中学時代Limeグループに入っていた人にだけ来ているのだろう。 「うん」 「へぇ、そうなんだ。行ってきたら? 」 「うーん」  珍しく鈴木にしては歯切れが悪い。中学時代の鈴木は上手く立ち回っていたと思う。  小学校時代……事故のあとはうまく立ち回れていなかったけれど、その時のことが嘘だったのではないかというくらい鈴木は中学の時学年の中心にいた。  小学生の時もそうだったから、あの事故の跡がおかしかっただけかもしれない。 「……なにか不都合でもあるの? 」 「不都合っていうか……面倒だなと思って」 「面倒? 」 「うん、だって、仲のいいやつとは今でも会えてるし」 「そうなんだ」  それはよかった。ほっと胸をなでおろす。  事故前の時と違い鈴木には人に踏み込まないようにしている雰囲気があった。  仲良く立ち回って入るけど、自分の本心には踏み込ませないような何かがあった。  年を取れば、考え方も変わる。  それは普通のことだ。でも、鈴木の場合は違和感を感じるほどそれが顕著だったから……  このぐらいの時期なんて、もっと人に踏み込んで踏み込ませるべきなのに。  まぁ、同い年の私が言えることじゃないが。  でも、それももう無くなったらしい。
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