1章

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 出した声は思いのほか動揺していて、口をふさぐ。恐る恐る鈴木のほうを見ると、鈴木は宙を見ていた。 「あぁ、あいつは参加するタイプだよな。でもなぁ」  少し苦々しい顔を鈴木がする。 「え? な、なに? 」  やっぱり面倒のほうが勝ってしまうのだろうか? 「いや、いろいろあったんだよなぁ。中学時代」 「いろいろって? 」 「⋯⋯そうか。まぁ、斎藤は知らないか」 「私、中学時代クラスの人とあまり話してなかったからね」 「自分で言うか⋯⋯」  鈴木が少し呆れたような声を出す。 「うん」 「⋯⋯そういうところ昔から変わらないな」 「そう? 少しは昔より人付き合い上手くなったつもりだったんだけど」 「そういうことじゃなくて⋯⋯。なんていえばいいんだろうな。人と一線引いてる感じが」 「そんなつもりないけどなぁ」 「まぁ、本人と他人の認識は違うっていうやつだな」 「それで? 参加しないの? 」
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