1章

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「うーん、どうしようか。というか、斎藤は参加しないの? 」 「私は参加しないよ。そもそも誘われてすらいないし」  鈴木と関わるのも今日が最後だと決めた。それなのに、関わるわけにもいかないだろう。 「それは、ただ単にクラスLimeに入ってないからじゃないか? 」 「だとしても、行かないかなぁ」 「⋯⋯そうか」 「鈴木は? 」 「俺? うーん、やめておこうかなぁ」 「迷ってるなら行ったほうが良いよ。そっちの方が絶対楽しいって。集まれる機会なんてこれからもっと減っていくんだよ! 」  胸の前にこぶしを作り力説する。 「いや、それだったら斎藤にも当てはまるだろ」 「私は行くか行かないか迷ってない! 行かないって決めてるもん! 」 「あ、それもそうか」 「うん! 」  勢い良く頷く。 「なんで、斎藤はそんなに必死なの」 「え? なんとなく? 」  鈴木が呆れたようにこっちを見る。 「なんとなくか⋯⋯」 「うん、なんとなく」  鈴木がため息を一つ落とした。 「行ってこようかな⋯⋯」 「行ってらっしゃい! 」 「⋯⋯斎藤は本当に俺を行かすのに乗り気だな。何か企んでる? 」 「そんなことないよ! 」 「本当か? 」 「ほんとほんと」  ⋯⋯まだ鈴木に疑わしそうな顔で見られている。  鈴木から目をそらすと、目の前に真っ赤な応天門があった。
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