1章

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 手水のところに行くと蒼龍の像があった。 「蒼龍……っていうことは青龍? もしかして、玄武とかもいるのかな? 」 「玄武って? 」  鈴木が右手に水をかけながら、不思議そうな声を出した。 「四神って知ってる? 」 「知ってるような、知らないような」  とどのつまり、知らないってことだろう。 「四神っていうのは方位神のことなの」 「青龍はどの方角? 」 「東が青龍。ちなみに、西は白虎、南は朱雀、北は玄武の霊獣をいうんだよ 」 「へぇー、でも、なんでここに像があるんだ? 」  なんでだったけな……。調べたはずだ。必死で頭を働かせる。 「あぁ、そうだ。平安神宮はね、陰陽道に基づく四神相応というものにゆかりが深い神社なんだって」 「四神相応? 四神信仰とかじゃなくて? 」  鈴木はハンカチを出し、手を拭いている 「四神相応。方角を司る4つの神様が存在するのにふさわしい地相のことで、その地にすると邪気が遮断され、幸福や無病、長寿などを呼び込むとされてるんだって」 「へぇ、じゃあここはその四神相応に相応しい土地にたっていると」 「そういうことになるね」  奥の太極殿に向かって歩き出す。 「ちなみに、その四神相応の具体的な中身は?」 「え? えっとー」 「流石に知らない? 」 「いや、大丈夫! 」  思い出せ、思い出せ……。眉間を揉む。
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