2章

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2章

 今は日本史の授業中。ちょうど平安時代をやっている。  先日平安神宮に行ったからか、いつもより想像しやすい。先生の話が聞こえるたびに、頭に映像が流れていく。  それなのに、授業に身が入らないでいた。  なんで授業に身が入らないのか。その理由は十分にわかっている。  理系に進めば、こんなに詳しく習わなくていい。そう思うと、今やっていることが無駄な気がしてくるからだ。  日本史の教科書から目を外し、窓の外を見る。  外では、どこかのクラスがサッカーをやっていた。  今日、自分も体育の授業が入っていたのを思い出し、余計に気が重くなる。  サッカーボールが宙を舞い、ネットに入る。音が聞こえなくても、盛り上がっているのが目に見えて分かった。  ……誰が入れたのだろう。疑問に思って、人の中心を見ると、そこには鈴木が立っていた。  慌てて視界から消すように目線を外すと、鈴木から少し離れたところに立っている伊藤君と目が合った。  間違いなくあっちも自分のことを認識しているだろう。  あの人の視力は両目ともに1.0以上あったはずだ。  ……気まずい。  そっと黒板に視線を戻し、気づかなかった振りをした。  大丈夫。向こうは私のことを嫌っているはずだ。  気づいていたとしても、視線を外した私を咎めることはないだろう。
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