2章

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 急に鈴木から距離を取る。その方法ももちろん考えた。でも、それはすぐに無理だと判断した。  鈴木から離れる覚悟がまだ私にできていないというわけではない。  覚悟はできている。覚悟ができているからこそ、鈴木と急に離れない方法を選んだのだ。  完璧に、完膚なきまでに縁を断ち切るために。  少しずつ、少しずつ距離を離していったほうが自然な形だろう。  だから、今はそっけなくしているのだが⋯⋯。 「⋯⋯なんでついてくるの? 」  隣で長い脚を利用して、速足で歩く私に普通に並走する鈴木に問いかける。 「え? 俺も購買行くからだけど? 」 「嘘つけ」 「斎藤、口悪いぞ」 「ついつい。でも、さっき鈴木がいた集団、学食行くって話してたよね? 」 「俺は購買で買って、食堂で食べるんだ」 「⋯⋯嘘だ」 「なんで、嘘だと決めつける? 」 「だって、前言ってたじゃん。学食は量が多くて、お得だけど、購買はたくさん買わないといけないから全然お得じゃない。購買は使わないって」 「⋯⋯まぁ、それはな」 「今、ごまかした? 」 「気のせいじゃないか? 」 「違うと思うけど」  更に足のスピードを速める。鈴木は難なくついてくる。  足のスピードで振り切るのは無理らしい。 「⋯⋯本当に購買で買うの? 」  購買は驚くほど並んでいた。
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