1章

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 なら、私はその思いに真摯に答えなければならない。  また、間違えないためにも。 「大丈夫。少し嫌な夢見たから、気分がおかしくなっただけ」 「そうなのか? 」 「うん。心配してくれて、ありがとう」  目を細め、口角をいつもよりも上げる。 「何も無いならいい」  私から、視線を前に移す鈴木の足を気づかれない程度にちらりと見た。  ……普通の足だ。あの時みたいに変に曲がっていたりなんかしない。  そのことにほっとしながら、いつも通りになるために会話の内容を探す。⋯⋯なにがあっただろうか。 「鈴木、そういえばあの人とは同じクラスになったの? 」 「あの人? あぁ、翔真のことか? 」 「⋯⋯うん」  鈴木が事故に会ったとき、私と同じようにその現場にいた人物。鈴木の親友だ。  私はあの人がどうしても苦手で、二人きりになることを避けている。きっと、向こうも気づいているだろう。  ⋯⋯初恋の人に対して、こんな感情を抱くなんて思いもしなかったな。  窓の外を見ると、桜並木が窓から見えた。  ⋯⋯あの事故以来、桜はどうも苦手だ。そこから顔をそらし、鈴木のほうを見ると、鈴木は嬉しそうに笑っていた。 「その顔は⋯⋯伊藤君と同じクラスになれたの? 」 「あぁ! これで、二年連続同じクラスだ」 「そう、それはよかったね」
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