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その甘ったるい味がなぜかのどにまとわりついたような気がした。
◆
高二職員室前。私はそこに立っていた。
職員室になんて日直の時、日誌を返しにいくぐらいしか入ったことがない。
「失礼します。山中先生いらっしゃいますか? 」
職員室の扉を開け、大きい声でそういうとのそりと山中先生がやってきた。
「斎藤さん、久しぶりだね。どうしたんだい? 」
私の顔を見て、すぐに名前を出す先生に驚く。名前を覚えてるのか。
「⋯⋯お久しぶりです。あの、先生は理転ってどう思いますか? 」
「りてん? 理系になるってことかい? 斎藤さんは確か文系だったよね? 」
「はい」
「なるほど、迷っていると? 」
「たぶん⋯⋯そうなんだと思います」
「そうか。ちょっと場所を移そうか。少し待ってて」
職員室の扉付近で待つ。
生徒や先生が出入りしていて少し居心地が悪い。
「待たせたね」
先生の手には鍵が一本。
「行こうか。この場所だと、少し人通りがあるから」
先生の後をついていく。
「このまえ、鈴木君が言っていたことはもしかして斎藤さんのことかい? 」
「おそらくそうだと思います」
「そうか」
ほほえましいものを見たかのような顔で見られ、思わず視線を外す。
先生はてきぱきと鍵を開けると、扉を開け中の電気をつけた。
「どうぞ」
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