2章

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 後、鈴木と伊藤君と一緒のクラスになってしまったらという不安もあるけど、それはここで口に出すことではない。 「ちなみに担任の佐伯先生には相談した?」 「いいえ、つい先日理系変えが可能だという話を聞いたばかりなので」 「そっか。なら、まずは佐伯先生にも相談だな。いい先生だから親身に聞いてくれる。後、鈴木君から聞いてると思うけど、古生物学の研究に携わってる友人がいるんだ。話聞いてみる? 」 「はい。それは是非」 「僕の友人も喜ぶと思うよ。古生物学に興味を持つ学生がいるって知ったら。じゃあ、早速今週の日曜とかどう? 」 「空いてます」 「なら、日曜日。場所と時間はおいおい連絡するから」 「はい」  山中先生は席を立ち、ドアを開ける。 「佐伯先生に進路について迷ってることちゃんというんだよ。斎藤さんが理転するとしたら、それの手続きをするのは全て佐伯先生だからね」 「はい。ありがとうございました」  部屋を出て、頭を下げる。 「いえいえ」  ◆  山中先生と一緒に古代生物を研究している人の所で話を聞き、その帰り私は1人駅前の改札口にたっていた。  スマホをいじるわけでもなく、ただぼーっと宙を眺めながら今日言われたことを整理していると、視界の中で白い手のひらが数回揺れた。 「桜〜、おーい、見えてる? 」 「凛ちゃん……」 「うん、久しぶり」
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