2章

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 ニカッとトレンドマークであるポニーテールを揺らして凛ちゃんは笑った。 「久しぶり。1年以来だね」  小、中と一緒だった凛ちゃんとは高校で別れてしまった。かれこれ会うのは高校入りたての時に会ったっきりだ。 「あぁ、もう1年になるのね。どっかカフェでも入る? 」 「うん」 「なら、おすすめのカフェがあるの」  颯爽と歩き出す彼女についていく。 「鈴木と翔真とは今でも仲いいのよね? 」  少し口ごもる。  鈴木は今、避けている真っ最中だし、伊藤君とはそもそも仲良くはない。  でも、これだけ長い付き合いだ。凛ちゃんと伊藤君が両片思いだということは知っている。もしかしたら、もう付き合っているかもしれない。  それを思うと下手なことは言えなかった。 「うん、仲いいよ」  精一杯の笑顔でいう。 「へぇー、そう」  凛ちゃんは少し止まったあと、満足気にうなづいた。 「ここよ」  立ち止まった所は、カフェと言うよりは喫茶店のような空間だった。 「凛ちゃんにしては、意外なところだね」 「そう? 」 「うん、だっていつも洋風なところでしょ? だから、こういう所は珍しいなって」 「そういえば、そうね。ここは、桜が好きだと思うわ」 「それは楽しみだな」  店に入ると、心地よい音量でクラッシックが流れていた。
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