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店員さんに凛ちゃんが人数を告げ、席に案内される。店員さんが去ったところでメニューを開いている凛ちゃんを見た。
「この流れてる音楽なんだったっけ?」
残念ながら、私は音楽に精通していない。
小学校の頃、二、三年ピアノをやっていたが自分には向いていないとそうそうに見切りをつけてやめてしまった。
「亜麻色の髪の乙女」
「即答! 流石だね。凛ちゃん」
「まぁ、小さい頃から習ってるしね。これぐらい当然よ」
当然と言いつつ、凛ちゃんは少し恥ずかしそうにポニーテールの先を指でくるくると弄んでいる。
「で、桜は何にするの? 」
凛ちゃんが私の方に向けてメニューを広げた。
「凛ちゃんのおすすめとかある? 」
「おすすめ? そうね⋯⋯豆乳プリンとか桜好きなんじゃない? 」
「それは、おいしそうだね。それにしようかな」
グーッとお腹が鳴った。
「⋯⋯お腹すいたの? 」
「うん、実は昼ごはん食べてなくて」
「食べてないって、今三時よ」
山中先生と待ち合わせをしたのは、昼過ぎだったのだが、緊張しすぎてのどに通らなかったのだ。
いぶかしげな顔をする凛ちゃんに笑みを向けた。
「ちょっと、忘れちゃったんだ」
「お昼忘れるって⋯⋯、どういう状況よ」
「まぁまぁ、他にも何か頼もうかなぁ」
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