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鈴木がさらに笑みを深め、深呼吸するように口を開いた。⋯⋯これはいつものセリフが来るな。笑みを維持しつつ、断る準備をする。
「斎藤と翔真と俺、もう幼馴染だよな」
「⋯⋯そうだね」
「小学校からだもんな」
じっくりと周りから囲うように、鈴木が言葉を紡ぐ。口元は笑みを描いたままだが、目がどんどん固くなり、笑っていない目に変化していく。真剣な目に変化していく。
あぁ、ばかだなぁ。
そう思うと同時に、自分の顔の筋肉が緩む。
こういうところは本当に⋯⋯愛おしいと思う。分かりやすいところ。昔から変わらない鈴木の癖。
「うん」
「長い付き合いだよな。小学生からっていったら。普通、少しは遊びに行ったりすると思わないか? 」
それじゃあ、誘導できてないよ。私から貴方がほしい言葉を吐かすことはできない。
「かもしれないね。でも、それは相手の関係性にもよるんじゃない? 」
「相手の関係性? 」
「うん。だって、幼馴染だといっても、いくら同じ空間にいた時間が多かったとしても、お互いの認識にもよると思うの。例えば、友達の友達⋯⋯とかね」
「友達の友達? 」
いぶかし気に鈴木が顔をしかめる。咄嗟に言葉の意味が理解できなかったのだろう。
鈴木は友達の友達はコミュニケーション能力でいつのまにか自分の友達にしてしまう。
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