2章

15/33

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
 そう思うと手が震えて、弱い私がやっぱり話さなくていいんじゃないかな。その方が波風立てずに過ごせるよと囁く。  そうしたい! そうしたいけど……きっとそれじゃ、だめなんだ。 「じゃあ、先ず……鈴木が小学校の頃事故にあったでしょ」 「事故……あぁ、自転車とぶつかったやつね」  あっけらかんと凛ちゃんは答えた。 「うん、それでその後の私の行動覚えてる? 」 「それはもうしっかりと覚えてるわよ」  凛ちゃんが何回もうなづく。 「だって、あの時の桜の行動は不可思議だったもの。私にとって」  ◆凛side  いつものようにうるさい男子が、私の友人の悪口を言う。  腹が立って、振り向きもっと酷い暴言を吐いてやろうとしたが、横を見ると桜はいつもの通りニコニコと笑っていた。  なんで、この状況で笑っていられるのか意味がわからない。  桜になぜ、笑ってられるのか。言い返さないのかそれを聞こうとした瞬間に、桜をいじめる悪ガキの隣にいるやつの声が聞こえた。 「危ない! 」  悪ガキの隣にいるやつはいけ好かないヤツだ。いつも、落ち着いた笑みを浮かべ、周りと一線を引いている。  そんなヤツの初めて聞く焦った声だった。  きっと、悪ガキ関連だろう。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加