2章

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 ゆすらないようにしながら、必死に呼びかける。  呼吸は整っている。耳を近づけてみても異常な音はしない。  桜から顔を離し、衝撃が走った。  目が、どこか宙を見ているようなうつろな目だったのだ。ここから先、この子がなにか変わってしまうのではないかと思わせるような⋯⋯。  足の指先から恐怖がじわじわとにじんできて、それが口にまで来た時、大人の大きな靴と子供の運動靴が視界に入った。  それは、警察と翔真だったわけだが、そのおかげで私は取り乱さずに済んだ。  そんなことがあったため、いつもよりも桜の行動を見ていたわけだが。本当に理解不能だった。  鈴木が入院してから、数日後桜は足しげく病院へ通い始めた。  クラスの人と行くわけでもなく、翔真と行くわけでもなく一人で。自分がいじめられていた相手に。  なんで放っておかないのか、ざまぁみろと思わないのか不思議だった。  元々、桜に好意を寄せていた鈴木は⋯⋯アピール方法はアホの方法をとっていたけど。まぁ、それはいい。  ものの見事に鈴木はおちた。  まぁ、そりゃあ、そうだろう。気になっていた子がクラスの友人が来なくなっても足繫く通われ、献身的にされたら。  痛い目にあったことで、苦労したことで少しはあの馬鹿も変わったらしく、前に比べて大人な対応をし始めた。  桜も鈴木が成長した結果か、二人が両肩思いなのは明白。
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