2章

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「⋯⋯なるほど」  軽蔑した表情を浮かべていると思っていた凛ちゃんは、なぜか苦笑いする。 「で、結果は? 」 「え? あ、うん。結果は成功したよ。鈴木は見事に執着した。私ね、鈴木が退院するまでは何も思ってなかったんだ。むしろ、しめしめとさえ思ってた」 「ほぅ」 「でも、鈴木がクラスから帰ってきて、私に対するいじめがぴったりと終ったの」 「へぇ。鈴木が戻ってきて、そんなことにかまっている暇がなくなったから? 」 「ううん、違う。鈴木が言ったから。こんなこと止めようって」 「鈴木が。それは初耳ね」  凛ちゃんが目をパチクリさせた。 「うん。まぁ、納得しない人も数人いて。ちょっと見えないところでいじめられたりもしたんだけど⋯⋯」 「⋯⋯そのたびに鈴木が守ってくれたとか? 」 「⋯⋯うん」 「それは⋯⋯少女漫画の世界みたいね」 「それは私も思った⋯⋯。そこで、初めて自分のしたことはだめなことだ。許されることはないって思ったの」 「いや、それはおかしいと思うわ」 「⋯⋯どこが? 」 「だって、鈴木がしたことは当たり前のことよ? 」  そういうと凛ちゃんはページをめくり始めた。 「凛ちゃん? 」 「ケーキを頼もうかなって」 「ケーキ? 」 「気分の落ち込んだ時は甘い物⋯⋯よね? それの、ここのケーキすごくおいしいのよ」
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