24人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
「⋯⋯なるほど」
軽蔑した表情を浮かべていると思っていた凛ちゃんは、なぜか苦笑いする。
「で、結果は? 」
「え? あ、うん。結果は成功したよ。鈴木は見事に執着した。私ね、鈴木が退院するまでは何も思ってなかったんだ。むしろ、しめしめとさえ思ってた」
「ほぅ」
「でも、鈴木がクラスから帰ってきて、私に対するいじめがぴったりと終ったの」
「へぇ。鈴木が戻ってきて、そんなことにかまっている暇がなくなったから? 」
「ううん、違う。鈴木が言ったから。こんなこと止めようって」
「鈴木が。それは初耳ね」
凛ちゃんが目をパチクリさせた。
「うん。まぁ、納得しない人も数人いて。ちょっと見えないところでいじめられたりもしたんだけど⋯⋯」
「⋯⋯そのたびに鈴木が守ってくれたとか? 」
「⋯⋯うん」
「それは⋯⋯少女漫画の世界みたいね」
「それは私も思った⋯⋯。そこで、初めて自分のしたことはだめなことだ。許されることはないって思ったの」
「いや、それはおかしいと思うわ」
「⋯⋯どこが? 」
「だって、鈴木がしたことは当たり前のことよ? 」
そういうと凛ちゃんはページをめくり始めた。
「凛ちゃん? 」
「ケーキを頼もうかなって」
「ケーキ? 」
「気分の落ち込んだ時は甘い物⋯⋯よね? それの、ここのケーキすごくおいしいのよ」
最初のコメントを投稿しよう!