24人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
モンブラン⋯⋯いや、フルーツタルト? ぶつぶつ呟きながら凛ちゃんはケーキを選ぶ。
「桜も食べる? 」
こっちにメニューを向ける凛ちゃんを見て、話の続きは無理そうだと判断した。
「⋯⋯そうだね。食べようかな」
フルーツタルトを二つ、店員さんに頼み凛ちゃんをじっと見る。
「それで、話の続きなんだけど鈴木のしたことは当たり前ってどういうこと? 」
「⋯⋯桜、怒ってる? 」
「え!? 怒ってないよ」
うん、怒っていないはずだ。だって、言われたことで怒ることは何もない。
凛ちゃんが私を怒っていると勘違いした理由を探す。
「⋯⋯もしかして、私が真顔だったから? 」
「えぇ、だって桜っていつもにこにこしてるじゃない? だから⋯⋯」
「⋯⋯ごめんね。自分に都合の悪いことを告白してるから、なんていうか⋯⋯心の余裕がなくて」
「なるほど」
ケーキが届く、
フォークでタルト生地をザクッと切る。口に入れると滑らかなカスタードクリームと瑞々しい果物の味が広がって、少し気持ちがほどける。
「⋯⋯おいしいね」
「でしょ。落ち着いたところでなんで鈴木のしたことが当たり前かというと⋯⋯」
「うん」
「だってさ、鈴木って桜をいじめていたわけでしょ」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!