1章

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 友達の友達が赤の他人なんて、すぐに思いつかないんだろうなぁ。 「そう、つまり赤の他人。私と伊藤君の関係みたいなものだよ」 「⋯⋯翔真と斎藤は赤の他人じゃないだろ」 「そこは、本人たちがどう思うか⋯⋯だよ。そこに他者の視線は関係ない」 「なら! 友達になるためにどこか行くっていうのもありじゃないか? 」 「それは、どうかな? 申し訳ないけど、断らせてもらうよ」  鈴木は何か言おうと口を開けて閉じる。しばらく、無言で車窓の景色を見ていると、鈴木が口を開いた。 「なぁ、小学校の頃は斎藤と翔真仲良かったよな」 「仲良かったわけではないよ」 「でも⋯⋯」  鈴木は声になっていない声を出した後、珍しく振り絞った声を出した。 「俺が斎藤をいじめていた時、翔真はいつもさりげなく斎藤に話しかけてただろ」  ⋯⋯いつもなら、私が断った時点で話は終わるのに。なんで、今日に限って。  あんな夢を見てしまった自分を恨みつつ、これからどんな話を振られても、動揺を隠すことができるようほんの少しだけ口角を上げる。 「⋯⋯気づいてたんだ」 「それは⋯⋯な。うん、気づくよ」  歯切れ悪く鈴木は頷いた。 「斎藤、翔真がそばに行ったとき明らかにほっとした顔をしてたし」 「⋯⋯それはそうかもね」
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