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友達の友達が赤の他人なんて、すぐに思いつかないんだろうなぁ。
「そう、つまり赤の他人。私と伊藤君の関係みたいなものだよ」
「⋯⋯翔真と斎藤は赤の他人じゃないだろ」
「そこは、本人たちがどう思うか⋯⋯だよ。そこに他者の視線は関係ない」
「なら! 友達になるためにどこか行くっていうのもありじゃないか? 」
「それは、どうかな? 申し訳ないけど、断らせてもらうよ」
鈴木は何か言おうと口を開けて閉じる。しばらく、無言で車窓の景色を見ていると、鈴木が口を開いた。
「なぁ、小学校の頃は斎藤と翔真仲良かったよな」
「仲良かったわけではないよ」
「でも⋯⋯」
鈴木は声になっていない声を出した後、珍しく振り絞った声を出した。
「俺が斎藤をいじめていた時、翔真はいつもさりげなく斎藤に話しかけてただろ」
⋯⋯いつもなら、私が断った時点で話は終わるのに。なんで、今日に限って。
あんな夢を見てしまった自分を恨みつつ、これからどんな話を振られても、動揺を隠すことができるようほんの少しだけ口角を上げる。
「⋯⋯気づいてたんだ」
「それは⋯⋯な。うん、気づくよ」
歯切れ悪く鈴木は頷いた。
「斎藤、翔真がそばに行ったとき明らかにほっとした顔をしてたし」
「⋯⋯それはそうかもね」
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