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もぐもぐと再び口を動かすと、視線を感じた。
「斎藤さんって小動物みたいだよね」
「小動物? 」
「うん、食べてる姿とか雰囲気が。後、臆病なところも。⋯⋯まぁ、臆病なのは俺もだけど」
「臆病⋯⋯。それは、否定できないかも」
「⋯⋯いつ空いてる? 」
「いつって? 」
「空いてる日」
「⋯⋯どこか行くの? 」
「うん。斎藤さんと」
「私? なんで? 私のこと嫌ってるんだよね? 」
頭から出た疑問が次々と口から出てくる。
「まぁ、落ち着いて。で、空いてる日は? 今週の日曜とか空いてる? 」
「空いてるけど⋯⋯」
「なら、その日に。十字路に一時」
「⋯⋯十字路って」
鈴木が事故にあった場所じゃないか。
私たちの中で十字路といったら一つしかない。
なんで、わざわざその場所を⋯⋯。
「なんでその場所をって思ってる? 」
「うん」
「定番の待ち合わせ場所でしょ? 俺らにとっては」
「そうだけど⋯⋯定番の場所なら他にもある」
「⋯⋯あの場所から逃げたらだめだと思うんだ。俺も、斎藤さんも。もちろん亮太もね」
「⋯⋯私は」
「ねぇ、斎藤さん。決着つけよう。これでもう幕引きにしよう。⋯⋯綺麗にとはいかないかもしれないけど」
「なんで、急に⋯⋯」
「急じゃないよ。前々から考えていたことなんだ。幕引きも」
伊藤君はため息を吐く。
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