3章

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 頷いた後にあれ? と首をかしげる。  果たして、伊藤君は凛ちゃんを呼び捨てで呼んでいただろうか。 「今、伊藤君、凛って言わなかった? 」 「言ったね」  まさか 「ついに付き合ったの? 」 「まだ、付き合ってないよ」  まだ⋯⋯ということは、付き合うことはすでに確定事項なわけか。  自信があって羨ましい。いや、この場合何としても捕まえるっていう意味なのかな。 「⋯⋯ こんなに問題を宙に浮かせたままで付き合えるわけないだろう?」 「⋯⋯それは、そうだね。ごめん」  そうか。だから、伊藤君は嫌いな私を呼び出して、二人行動をしてまで解決させようと思っているわけか。  やっと、理由が腑に落ちる。 「まぁ、それだけじゃないけど」 「え? 」 「こっちの話」  それ以上は教えてくれなさそうだ。  いくら友達が関わっている話だからといって、私が踏み込んで良い問題でもないだろう。  トンネルを抜け、階段を上ると小学校につながる坂が出てくる。  わいわいと楽しそうな声が聞こえた。  楽しそうな声が聞こえる中、私たちは無言で坂を上る。無言の空間はどうも居心地が悪く、必死で話題を探した。 「⋯⋯盛り上がってるね」 「そうだね」 「伊藤君と鈴木も市民体育祭出てたよね。グループは違ったけど」  市民体育祭のグループは子供会で分けられる。私のところはマンションだけで子供会ができていたため、マンションの違う二人とは同じグループではなかった。
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