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「うん。亮太がすごく毎回やる気でさ」
「あぁ、鈴木結構勝負事好きだったもんね」
「そう。それで、応援旗ぶんぶん毎回振り回すんだよね」
「あぁ、各グループに一つはある」
「そうそう。それ、振り回しすぎて毎回最後には腕動かせなくなってるんだよ」
伊藤君が愉快そうに笑い声をあげた。
鈴木の話になると伊藤君は楽しそうだ。
「鈴木、向こう見ずだったもんね」
「あと、鈴木が市民体育祭の時、いつも斎藤さんがいるテントまで行ってたの気づいてた? 」
グループごとに熱中症対策も兼ねて、レジャーシートを地面にしきテントが建てられる。伊藤君はそのことを言っているのだろう。
鈴木と私のグループのテントは端と端。かなり離れていたはずだ。
だからこそ、私は安心して市民体育祭を楽しむことができていた。
遠いし、ここまでわざわざいじめに来ないだろうと。でも⋯⋯。
「来てたの? 」
「やっぱり気づいてなかったんだね。毎年、斎藤さんのテントに行ってたよ」
「⋯⋯そうなんだ」
事故以後は私に依存していたからともかく、事故以前は⋯⋯そんなに私をいじめたかったのか。
「ちなみに斎藤さんをいじめに行ってたとかじゃないからね。⋯⋯いや、まぁそれもあながち間違っていないんだけど」
「間違ってないの? 」
それはいじめに来てたのか来てないのかどっちなんだろう。
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