3章

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「んー、いや、間違っていないわけじゃ……まぁ、そのあたりは鈴木に聞いて? って言ってる間についたね」  懐かしい校門を見上げる。校門を入ると、すぐに運動場が見えた。テントが半円状に並んであり、小学生があちこちで走り回っている。 「今は、大縄跳びやってるみたいだね」 「そうだね」  伊藤君はグラウンドではなく、校門の目の前にある校舎につながる坂道を歩いていく。 「あれ? グラウンド行かないの? 」 「グラウンドには用はないから」 「じゃあ、どこに」 「校舎」 「え? 入って大丈夫? 私たち部外者なのに」 「大丈夫」  伊藤君は迷いなく校舎に入った。  靴箱がズラリと並んでいる。少し、削れて丸くなったりマイネームでところどころ小さい落書きがしてある木の靴箱。 「懐かしい」  じっと靴箱をみる私を無視して、伊藤君はスタスタと職員用靴箱に向かう。慌てて、ついていくと来客用スリッパを出して、伊藤君は校舎へと足を踏み入れた。 「斎藤さん、入らないの? 」 「え、あ、うん」  伊藤君を見習い、私も急いで靴を脱ぎスリッパをはいて、校舎に踏み入れる。  伊藤君はスタスタと校舎を歩く。階段の前に来た時、そこには部外者以外立ち入り禁止と書いてあった。  黄色と黒のロープまでしてある。伊藤君はそれを跨ぐと中に入った。 「え、入っちゃダメじゃない? 」
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