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階段を上って遠ざかっていく背中を睨みつけ、そのあとそれを隠すように口と目を弓なりに歪めた。
伊藤君についていくと、職員室前で止まった。
こっちを振り向き、わざとらしく伊藤君は笑う。
「担任だった真鍋先生って覚えてる? 」
「覚えてるよ」
鈴木が事故に会ったときの担任だ。
真鍋先生は弱い生徒を気にかけるタイプだった先生だったから、私も気にかけてもらっていた。きっと、私が助けてくれといったら助けてくれただろう。
もっとも、大ごとにはしたくなくてそんなこと言えなかったけど。
そのせいか、鈴木は事故に会うまで嫌われていた。
ともあれ、私にとってはいい先生だったのだ。あの時、先生までクラスの人気者を尊重するような人だったら、きっと私は不登校になっていた。
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