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「真鍋先生、まだいるんだって」
「そうなの? 」
「うん。だから、ちょっと挨拶していこうと思って」
「今日いるの? 」
「たぶん。だって、先生って休日でもいること多いだろう? それに自治体のイベントだったら何かがあったときのために待機しているかなと思って」
「なるほどね」
頷く私を横目で見ると、伊藤君はためらいなく一気に開けた。
「失礼します。ここの卒業生の伊藤です。真鍋先生はいらっしゃいますか? 」
卒業生という言葉に職員室にいる先生の視線が集まったことを感じた。
そのなかで驚いたようにこっちをじっと見ている先生がいる。
その先生はハッとしたようにこっちへ来た。
「伊藤と⋯⋯斎藤か? 」
私に確かめるように、おそるおそる名前を先生は出した。
「はい。斎藤です。お久しぶりです、真鍋先生」
近くで見た真鍋先生は、眼のふちのしわが増えていて年月の経過を知らされる。
身長の関係だろうか。
昔はあれだけ大きくて絶対的なものとして認識していた真鍋先生は、道を歩いている普通のおばちゃんに見える。
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