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第7話 休暇2
「おーい。そっち行ったぞ~。」
「えいっ。」
アリサが、ビーチボールをこっちへ送ってくる。
「ほいっ。亮太。」
「うおわっと。」
体勢を崩した亮太が、海面に倒れた。
「あはは、亮太君だっさ~。」
「う、うるせーよ。」
「あれ、そう言えば颯太君は?」
「ああ、あいつはあっち。」
そう言って、砂浜の方を指差す。
その先には、大人達と混ざってガチのビーチバレーボールをしていた。
「うわー。あれは、ガチの奴じゃん。」
「凄いね~。大人達の中でも活躍しているよ。」
「暑くなってきたから、かき氷でも食べるか。」
「いいね。賛成。」
「うん、いい。」
「俺に奢ってくれよ、瞬一。」
「奢るわけねーだろ。」
◇
かき氷のメニューを見たのだが、
「高っ。450円だと!」
思わず口にしてしまった。そしたら、店のおばちゃんが睨んで来た。ああ、怖い、怖い。
「なにこれ、シークワーサー?これにしよ。」
そう言って亮太は、いかにもマズそうな味をえらぶ。
「私はメロンで。」
「コーラ。」
「じゃあ、ストロベリーにしよっかな。」
「はい、まいど。」
出てきたのは、値段に似合わず普通のかき氷だった。なんか、損した気分だよ。まあ、本当に損なんだけど。
「なんだ、この味。夏っぽい味がする。」
「ん~美味しい。」
「うう、冷たい。」
みんな、思い思いにかき氷を味わっていた。てかなんだよ、夏の味って。
俺も美味しいと思ったけど、やっぱり高い。
「瞬一、交換しよっ。」
「む、私も交換。」
そう言って2人は|食食べかけのかき氷を差し出してきた。
「ほい、やるよ。」
そう言って俺のかき氷を2人に渡す。
「はい。」 「ん。」
「いいよ俺は、知覚過敏だし。」
魅力的だが、断っておいた。2人が残念そうな顔をしたのは、見なかったことにしておこう。
「なあ、瞬一。これから、どうするんだ?」
「皆が各自好きなことをすれば。」
「私は、シュノーケル使ってブロックの方に行こうかな。」
「じゃあ俺は颯太の方、見てくるよ。」
アリサと亮太は、すぐに居なくなってしまった。忙しい人だね。
「じゃあ、俺はパラソルの下で寝とこうかな。」
「私も。」
いや、付いてくるんかい。まぁ、良いけど。
「瞬一。ドミニオンの倉庫場所が分かった。」
「本当か!それは、どこだ!今すぐni、、」
「待って、データは送るから。けど、今日だけはその事を忘れて。、、この時間、好きなの。だから、お願い。」
いつもの花梨と違って、話が長い。必死になっているからだろう。
「、、、、ああ、分かった。」
花梨の悲痛な叫びは、瞬一の心に届いたようだ。
「ちなみに、瞬一の妹っぽい人はそこに見つからなかった。ゴメン。」
「そうか、、、、、。大変な思いをさせてごめんな。」
「ん、大丈夫。」
◇
「花梨は泳がなくて良いのか?」
「ん、そんな好きじゃない。」
「そうか、なんかするか。」
「んー、砂の城造りたい。」
「俺が手伝おうか?」
「ん、ありがとう。」
「じゃあ、どこに造ろうか。」
「波が届きそうで届かないところ。」
何だその微妙なところは。
「じゃ、あっちらへんに造るか。」
「ん、。」
そう言って、バケツとスコップを装備して建設予定地へ移動する。
「で、最初どうするの?」
「まずは、土台造るの。」
と言って、作業に取りかかる。てか、思ったけどいつもより、口数が多くね。夢中になっていると、口数も多くなるのか?そう言えば、仕事モードの花梨も口数多いな。
「次は、何をするんだ?」
「次は、堀と外壁を造るの。波に耐えられるような大きいの。」
あー、だからか。波が届きそうで届かないところにしたの。
てか、見た目より実用性ですか、現実主義ですね。ちょっと共感出来るわ。
どんどん外壁が造られ、その周りに堀が掘られて行った。
さっきから、周囲の人の目が集まっている。まぁ、しょうがねーか。こんなことしているの、俺らだけだし。
「ん、出来た。こんどは、土台の上に造るの。」
その後は、黙々と城が造られていった。
「出来た!」 「完成だ。」
城と言うか、要塞みたいな物が完成した。
パチパチと拍手が起こった。周りを見ると、多くの人が集まっていた。
「すげー、ナニコレ。めっちゃ細かっ。」
「砂で造れるレベルじゃない気がするんだけど。」
「精巧に出来ているわね。」
戻ってきた3人が、口々に感想を言う。
「ほとんど造ったの花梨だけどね。」
そう言うと、花梨は誇らしげに胸を張った。
いちいち動作が可愛いな。
「グ~~」と誰かのお腹が鳴った。
「あー。腹がへってきたな。」
どうやら、さっきの音は、亮太のものらしい。
「確かにね。もうすぐお昼だし。」
「じゃあ、昼食でもとりますか。」
アリサの提案により、俺たちは昼食を食べることになった。
◇
(やっぱ、高ぇ。)
さっきの店とは違う店に来たが、想像した通りやっぱり高かった。
(具の無いカレーか、味の薄い焼きそばどっちにしようかな。)
「私、バジリコパスタ。」
「サンドイッチ。」
「俺は、塩ラーメンで。」
「じゃあ、僕は冷やし中華にしようかな。」
みんなが、高額商品を選んでいく。
「焼きそば1つで。」
究極の決断の末、30円安い焼きそばになった。
◇
「そう言えば、颯太ってビーチバレーどうなったの。」
「ああ、なんか練習をしてから。試合をしたよ。21対15 21対18でどうにかなったよ。」
「勝ったの。おめでとう!」
「やっぱ、味薄い。」
「パスタに対してのバジルの量が、、、」
確かに、明らかにバジルが少なかった。言い換えるなら、ほとんど茹でたパスタだった。
「うん、うめーな。」
能天気なお馬鹿さんは、味覚も悪いそうです。
「タレが薄いな。少し。」
颯太も控えめに、文句を漏らしていた。
「ハムが無い。」
薄いパンに挟まれているのは、しおれたレタスと卵だった。
みんな、文句を言いつつも味わっていた。
◇
「ふぃー。お腹がいっぱい。」
「なんかやり残したこと、あるか?」
みんな特にないようだった。それぞれ、遊びきったようでなによりだ。
「じゃあ、今日はお開きにしますか。」
「了解。」
「ん、楽しかった。」
「楽しかったぜ。」
「ああ、僕もだよ。」
みんなが同じように感想を述べる。
こうして、楽しかった1日が幕を閉じた。
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