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3 夢は…
セレが自然災害から国を守る為に最後の魔法を使い、息を引き取ってから数日が経った。
密やかな葬儀も終わり、離宮の使用人達、両親、弟が遺品として持って行ったのは、セレが日常生活で使っていたグラスやペーパーナイフなどの小物類だった。
「思い出が染み込んでいる物が何かあれば良いのです。」
セレの姿を思い浮かべられる物を1つだけ。それ以上は誰も何も欲しがらなかった。
セレの使っていた部屋は、書斎も寝室も、クローゼットも…手を付けずに残された。
「セレ様がまだいらっしゃる様で…」
片付ける気にならないのだ。
結局、セレが遺した手紙は7年経った今でも誰にも見つかっていない。
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