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1 消えゆく前に
…もう長くはない…
ここのところ、セレの体調は目に見えて悪くなっていた。
この国、ロストークの第一王子として生を受けたものの、セレは生まれつき心臓に欠陥があった。
『成人の儀は迎えられまい』
ロストークでは18才で成人とされる。そこまでセレが生きられるとは誰もが思っていなかった。
しかし予想に反してセレは無事に成人の儀を終え、22才の誕生日まであと少しとなった。
「ここまで生きられたのが奇跡だな。」
セレはベッドの上で呟いた。
一年ほど前から屋敷内の階段の登り降りも困難になり、2ヶ月前からは1日の大半をベッドの上で過ごすようになった。
心臓を誰かに掴まれたような苦しさや、ギュッと棒を差し込まれたような痛みも以前より頻繁に感じるようになって来た。
「セレ…次に発作が起きたら多分、君はもう…」
セレの主治医であり、魔法や勉学の教師でもあるヴァシュロークからもそう言われた。
誰に言われなくても分かっていた。
身体は前にも増して重く、顔色は青白い。
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