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加奈子さんとりまさんが戻るまで、私とマネージャーはビジネスホテルのリビングのソファーに座っていました。
一時間弱経過したころ、加奈子さんが戻ってきました。
「加奈子さん、お疲れさまです。お仕事どんな内容でした?」
とマネージャーが訊きます。
コンビニで買っておいたカフェオレを加奈子さんに手渡しています。
「甘いのが飲みたくなるのよねえ、ありがとうございます」
とお礼を言って受け取った加奈子さんはソファーに座ります。
「お母さまと息子さんと私でまず、ファストフードに入って、そのあとはカラオケルームに入りましたよ。そこで、お話をしたり……ちょっといろいろ、あ、あ、次まで時間ないんですよね」
と、加奈子さんが時計を見ます。
そして、「次の予約までにお風呂に入ってきますね」と言います。
部屋の鍵を手渡して、荷物を置いてきた旨を伝えます。
マネージャーは着信を受けて通話しています。
私は加奈子さんがエレベーター待ちしているあいだに、訊きたいと思っていたことを切り出します。
「マネージャーが”危なかったらすぐに駆け付けてください”と言っていましたね? 何か危ない目に遭ったことがありますか?」
「あぁ、いつもなんですよ。マネージャーさんの口癖なんじゃないかしら」
と加奈子さんは笑います。
「お母さまと息子さんなんだから、危ないこともないのに。無意識の口癖なのね」
そして、加奈子さんは手を振りながら乗り込み、エレベーターの扉が閉じました。
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