龍の噛み痕

3/9
前へ
/11ページ
次へ
※※※ 人見知りで友達もいない歴16年。遠峯美月。 何もないところで躓いたり、滑って池に落ちたりが日常茶飯事の不幸体質のわたし。 そんなわたしのクラスに転入してきたのは、誰もが振り返るような容姿の男子だった。 黒髪にキリリとした顔立ちが眩しい。 「白瀬です。よろしく」 教壇の上で挨拶したその瞬間に、白瀬くんと目が合った。 反らそうともしない白瀬くんの視線にドキッとした。 「ねえねえ、白瀬くん。彼女いるの?いなかったらわたしと付き合わない?」 「ええーっだったらわたしも立候補する!」 「ずるーい、わたしも!」 白瀬くんはすぐに女子に囲まれてた。 「悪いけど、ムリ」 机に肘をついて拒絶する白瀬くんのその一言で彼女たちは固まった。 その黒く澄んだ目はわたしを見てた。 「ずっと好きな子がいるんだ」 向けられた瞳に何故かわたしを見ていると思わずにはいられなかった。 わたしをドキドキさせた白瀬くんは不思議な空気を纏ったひとだった───
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加