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そんなことがあった数日後。
学校からの帰り道の住宅街を過ぎると途端に寂しい場所がある。
その広い公園の前を歩いてると、いきなり後ろから羽交い締めにされて草むらに引き摺り込まれた。
むぐっ、
なにかを口の中に放り込まれて両腕を頭の上でひと括りにされた。
ハアハアと荒い息が頬に掛かる。
知らない男に真上からのし掛かられた瞬間にビリっと制服の胸元が破られた。
むぐっ!!
声が出せない!
スカートが捲られ男の足が割って恐怖のあまり体が硬直した。
抵抗しようにも押さえつけられた腕は動かない。
───やだ、怖い……助けて!
顔を背けて悲鳴のような掠れた声を上げ叫んだ。
荒々しい手が下着に掛かり、剥ぎ取ろうとする。
いやぁぁっ!
絶望に落ちる瞬間に雷のような轟音と白い光が空から降ってきて、わたしに覆い被さっていた男の背中を打った。
ごろりと男が転がりピクリとも動かなくなるとその光はすぐに消えた。
わたし、……助かった、の?
涙が次から次へと目尻から耳に流れた。
震えが止まらない。
涙をこぼすわたしを、倒れた男の後ろから現れた人がしゃがんでわたしを心配そうに見て噛まされた猿轡をとった。
「し、白瀬、くん……」
「……怖かったな。美月」
震えるわたしを安心させるように両手でそっと包んだ。
その手は温かかった。
「もう、大丈夫だから。俺がいる」
白瀬くんはいつだってわたしの危機に現れる。
何故かいつも見守っていてくれるようなそんな気がしてくる。
「白瀬、くん……」
涙をこぼすわたしを守るように広げられたその腕の中はとても温かくて安心できた───
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