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※※※
「美月へ」
登校したら、机の中にわたし宛の水色の封筒が入っていた。
封を開けると放課後に屋上に来て欲しい。待ってると書かれていた。
差出人を見ると、隣のクラスの立田くんで、16年間、誰からも好かれなかったわたしに手紙なんて、きっと相手を間違えてるんだね。
そう思って、来て欲しいと書いてあった屋上へと登ると、そこには立田くんがフェンスにもたれて待っていた。
「来てくれたんだ。よかった」
優しい笑顔を浮かべていた。
立田くんとは最近になって話をするようになった。委員会も一緒でランチルームで顔を合わせれば同じテーブルで食べていた。
「ごめん、急に呼び出して。お詫びにミルクティー買ってきたんだけど」
手渡されたのはわたしの好きなミルクティー。
立田くんのポケットに入っていたミルクティーは暖かかった。
そのミルクティーをふたりで座って飲んでるうちに頭の中がふんわりしてくる、
まるでお酒でも飲んだみたいに。
ゆらゆらする。
不意に腕から力が抜けてミルクティーの缶が足元に転がった。
「ごめんな。美月、こうでもしないと僕が欲しいものは手に入れられないからさ」
立田くんの顔はわたしを見て満足そうに笑ってた。
「な、んで……?」
体が重くなってく。
指先の感覚が鈍くなって動かない。
わたしの耳に何人かの近づいてくる靴音が聞こえた。
ゆっくりと後ろから現れた男子たちに周りを取り囲まれて戦慄した。
どう、して……?
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