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「愛してる…」
いままでずっと聞きたかったその言葉がようやく聞けた。ずっと僕が言えなかったこの言葉、死に際に愛する人の口から聞けたこの幸せ。友梨は続けてなにか言おうとしているが言葉が出ないのか、過呼吸気味に息をする音が聞こえる。
ようやく分かった。いつからか僕らは2人とも素直になれなくなった。そのまま時を重ねて歳をとり、余計に素直になれなくなっていた。
このタイミングに、いやこのタイミングだからこそ聞けた友梨の言葉、僕はもう救われた。
僕の使い物になるはずのない喉から最後の力を振り絞り友梨に思いを伝えた。
「僕もだよ…」
彼女に聞こえたかは分からない。
それでももう十分だ。最期の最期にお互い気持ちを伝えられたのだから。
僕は満足しそのまま眠りについた。
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