雨音

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「ええーっ」 後ろを向いて、僕の机で弁当を食べていたタツキがいきなり声を上げた。 「何?飯粒飛んだ」 「雨、雨、降ってんじゃん。え、いつから降ってた?」 「弁当食べ始めた頃?」 「マジかぁ。また体育館じゃん。で、またバスケじゃん?あーサッカーやりたかったのにぃ。連休明けからこの3週間、毎週金曜日ピンポイントで雨じゃね?」 「そうかも」 「そうだよ。もうプールだし」 「昨日梅雨入りしたって言ってた。5日くらい早いとか?」 「うわ、暫くジトジトだな。あー午前中ならサッカー出来たのに。昼食って体育って、ホントやだワ」 「サッカーはいいのか?」 「許す」 「なんだそれ。バスケ部なんだから、授業がバスケなら楽勝だろ」 「バスケ部だからこそサッカーやりたいじゃん。あー、昼休み中に止まないかな」 「止まないね」 「あーもう」 止まない。 弁当を食べてる間に止むわけがない。 ずっと、ずっと、ずっと…。 降り続く。 僕の中に降る雨は止まない。
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