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クラスの友達は、急に僕の右側から話し掛けるようになったり、
「梨音じゃなくて、雨音にしろよ」
とか、
「晴れてるのに雨音聞こえるなんて嘘つきだな」
とか、
遠足などの行事の前日には
「雨男は明日学校来んなよ」
と言われたりした。
明日は社会科見学。
帰りにやっぱりそう言われた。
天気予報は曇り時々雨。
別に僕が行こうが、休もうが曇り時々雨だ。
僕は、自然と無口になって行った。
そんな時ソウちゃんと会った。
通学路の途中にある小さな公園の滑り台の下で、子猫を見つけてから、僕は毎日、登校前と下校途中に公園へ寄った。
名前はリィとつけた。
「リィ、リィ、おいで」
小さく丸くなって、名前を呼んで暫くすると「ミィ」と、か細い声で返事をして恐る恐る近づいて来る。
黒白で鼻先がピンク色をしていて可愛い。
その日は、いつもとは反対側のベンチの方から「こっちこっち」と声がした。
青い髪の子が僕に向かって手を振っていた。
それが、ソウちゃん。
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