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翌日の社会科見学は、頭が痛いなどと嘘を言って休んだ。
朝は雨は降っていなかったが、空は暗く、すぐにでも降りそうな色をしていた。
雨音で目が覚めた。
本当の雨。
いつの間にか眠ってしまい、もう昼を過ぎていた。
着替えをして、今日のお弁当と牛乳を持って公園へ走って行った。
昨日と同じ場所にソウちゃんが居た。
ミリィはやっぱり膝の上で大人しくしている。
「ソウちゃんっ」
「あー学校サボったんだ」
「ん…頭痛かったから」
「嘘つけ」
「いいだろ。ね、ミリィもうご飯食べた?」
「食べた」
「お弁当持って来たのに」
「猫は食べないよ。あ、美味しそう。卵焼き頂戴」
「うん」
そうして、僕とソウちゃんとミリィは、公園で何度も会った。
ミリィはソウちゃんに懐いているように見えた。
「ミリィのお母さん見つかりそう?」
「ん、この公園の向こうの空き地に白黒のノラが居るんだけど、どうかなぁ?わかんないけど…ノラは子供を早く手離すんだって…」
「手離すって、1人にするってこと?」
「うん。これから寒くなるし、雨とか降るともっと寒くなって可哀想だ」
「そうだね。でも、僕は…可哀想じゃないよ」
「そう…ならいい…なぁ、ミリィ、梨音は可哀想じゃないってさ」
次の日から、ミリィの姿は見なくなった。
ソウちゃんにも会わなくなった。
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