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灰かぶり姫
深見こずえは入社3年目、ようやく仕事にも慣れて自分なりのルーティンで動けるようになったところだ。
それなのに、
「えっ、私が指導係?」
いきなり命じられたのは新入社員の指導係。
「そういうのは主任とか係長とか、もっとふさわしい人が――」
手を振って辞退しようとするこずえに、上司は、
「深見さんなら大丈夫。後輩なんてソフトボール部で慣れてるでしょう」
「……慣れてるって、大学の部活と仕事じゃ全然違いますよ」
釈然としないが、任された限りは仕方ない。
どこも人手不足なのはこずえだって知っている。
「よろしくお願いしまーす!」
こずえに託されたのは、22歳、大学を卒業したばかりの元気いっぱいな男の子だった。
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