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麗らかな春の陽光が差し込む土曜日の午後、深山邸には元気な声が響き渡っていた。
「深山家長男、現在大学生19歳!凪の双子の兄、深山哲!頭文字はTE!」
「深山家次男、同じく大学生19歳。哲の双子の弟、深山凪。頭文字はN」
「深山家長女!現役SJKの17歳!藍の双子の姉、深山雫!頭文字はSです!!よろしく!」
「……えっ、と深山家三男の藍です。雫の双子の弟で高校2年生です……。え、あと何いうんだっけ……。あ、頭文字か。え、あの、頭文字はAI、です」
「「四人合わせて、TE・N・S・AI!!どうも、TENSAIで〜す!」」
長男の哲と長女の雫の声が部屋に大きく響く。そのあと次男の凪がポチッとスマホのビデオを止めた。
「よし、撮影終わり」
凪の声にみんながホッとした顔つきになる。全員から無意識のうちにため息が漏れでた。
「もう〜。藍がぼーっとするせいで5回も撮り直したんだよ!!」
雫が怒った口調で言った。
「ごめん、その、考え事してたらいつのまにか僕の番になってて、気づかない間に雫が挨拶済ませちゃうから」
「それは私が悪いんじゃなくて藍の問題!」
「ごめんって……」
雫はぷーっと頬を膨らませて見せたけれどそれほど怒っている訳ではないようだ。怒りながらも顔が笑っている。
「とりあえずこれTwitterにあげとくよ〜」
長男の哲が残りの3人に呼びかける。それに3人が同時に頷いた。
今さっき4人が撮影していたのは4人のTwitterの共同アカウントにあげる予定の動画だった。
深山家の子供は双子が二組で構成されていて、上の双子が男の二卵性双生児、哲・凪ペア。
下の双子が男女ペアの二卵性双生児、雫・藍だ。
偶然なのか故意なのかはわからないが、子供の名前の頭文字を生まれた順にとっていくと丁度「天才」になる。
その名の通りこの深山家の子供は非常に優秀で、謎解きが好きなのも相まって4人で探偵活動的なものをしていた。
その日常の謎を募集をするためのTwitterアカウントに、先ほどの動画をあげるつもりでいるのだ。
「うわぁ、ありがたい事にめっちゃすぐにいいねがきてる」
哲がスマホを片手でいじりながら言った。実質そのTwitterアカウントを運営しているのは哲だ。
「うわ、ほんとだ、もう1000いいね」
「フォロワー今何人なの?」
「えーっと今は……、10万人?」
「え!すごい伸びたね〜!こないだまで6万人だったのに」
「まあそこらへんは凪先生さまさまと言うことで」
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