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哲の言葉に凪がふんと鼻を鳴らした。
凪はこの4人の兄弟の中でも一番整った顔立ちだった。
二重でありながら冷たい空気を感じさせる怜悧な顔立ちにほとんど微笑むことをしない薄い唇、すっと通った鼻筋。
女の人であれば、いや、男でも二度見せずにはいられないような顔立ちだった。これはクール系の男子が好まれる傾向にある現代において非常に有効なのである。
「やっぱ一番最初に凪の写真あげて良かったわ」
哲の小さく呟いた言葉に凪が薄く笑った。
「本当にね。これが哲だったら今のフォロワーも半減するところだぜ」
「はぁ!?」
「うそうそ、じょーだん」
「……」
「凪は相変わらず冗談がキツイねぇ……」
雫が小さくつぶやいた。うんうんと哲が頷く。その様子に凪は少し笑っていた。
と、今まで黙っていた藍が唐突に言った。
「ごめん僕今から図書館行ってくる」
「はぁ?今から夕飯だぞ」
「ごめん、僕ちょっと気になることがあってこれ調べないと死んじゃう」
「死ぬは言い過ぎだろ」
「ごめん、みんな先食べといて〜」
藍はそう言い残して普段は見せないような瞬発力で部屋を出て行った。
「はっや」
「相変わらずだなあ、藍は」
「本当に」
藍は自分の疑問はとことん追求する。そのためには夕飯だって睡眠だって削ることを厭わない。ある意味重度の知識ヲタクであった。
「今日の夕飯カレーだって!どうせ藍は図書館の閉館時間ギリギリまでいて遅いだろうし先食べとこ。せっかくのカレーが冷めちゃう」
「よしじゃあダイニング行くかぁ」
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