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名を紹介して、やはり皆、ぴくりと眉を動かした。その反応とともに声を発したのは、リントヴルムだ。
「ソフィーと言ったか……守護獣がついているのか?」
「はい。ふくろうの守護を授かりました」
守護を授かると、神より名を授かる。生まれた時に親からも名を授かるので、守護を授かった者は必然、名が2つある。逆に言えば、名を2つ持っていれば、それだけで守護を授かっていると公表しているようなものなのだ。
「……では、僕からも名乗ろう。僕は第二皇子『リントヴルム=ビルモス・フォン・ベルガー』だ。竜の守護を授かっている。しばらくは世話になるぞ」
彼は名乗った通り、第二皇子。とはいえ、第一皇子とは母親が違い、しかも生まれた日も同じ。ほんの数刻違うだけだ。
生まれてすぐに竜より守護を授かったとして有名だ。神獣と呼ばれる存在は数多いるが、竜から守護を授かった者は建国以来数えるほどしかいない。しかもそのすべてが有能であり、歴史に名を遺す逸材であったことから、この第二皇子も将来を嘱望されているのである。
人々の期待を裏切らず、幼い頃から聡明で何事も人並み以上によくこなす天才と呼ばれてきた。それに加え、高い地位にも驕らず、誰に対しても心安く接すると評判だ。
血筋から第一皇子が優遇されてはいるものの、実質、皇位を継承するのは彼ではないかと囁かれている。それでも今回の様に真っ先に後継者として名が挙がらないのには、1つ理由があるのだが……それをヒロイン・ソフィー嬢がどうするか……。
リントヴルムは初対面での無礼な行いは咎めずに、だが許してはいない様子だった。いつもの穏やかな表情を少し固くして、短く挨拶をした。
ソフィー嬢はその言葉に対して……
「はい。よろしくお願い致します、リントヴルム殿下」
ソフィー嬢は、屈託なく笑った。その笑みに、リントヴルムはまたぴくりと反応したのだが、どうも自分では気づいていないらしい。
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