にありーいこーる?

7/8
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 つむじは居間のソファですやすやと寝息を立てている。広くない部屋のサイズに合わせた小振りなソファでも、小柄な彼には十分らしい。 「子供みたいな人で驚いたでしょ」  かあさんが肌掛けをかけてやりながら、ふふっと笑う。その笑顔があまりに嬉しそうで、 (子供そのものだろ)  俺は言いかけた言葉を飲み込み、「そうだね」とだけ応えた。  聞けば聞くほど、本当に入籍したようだった。  交際期間もそこそこ長かったらしい。  家を出ていたから気づけなかったのだろうが、それにしても鈍すぎる……俺ってそんなに鈍かったっけ? 「嬉しくない? 念願のおとうさん」 「念願のって」 「あんなに欲しがってたじゃない。毎年お年玉持ってきて、これでお願いしますって。足りない分はまた来年、分割で、って繰り返してたの……おぼえてない?」 「……おぼえてない」  こだわった覚えはないと言うのは嘘だったようです。 「で、でも本当にかあさんのちょっと下なの? なんか俺より更に下に見えるんだけど」  料理長とか……かあさんとのやりとりを見てると、確かに上なのかなって思うけどさ。 「……喜んでくれないの?」  居間から戻ってきたかあさんが、にわかに悲しそうな顔をする。 「いや、そんなことはないけどっ……」 「だよね。喜んでくれるよね」 「うん……まぁそれ(再婚)自体はね。かあさんがいいなら……別に反対はしないよ」 「じゃあ、言ってよ」 「え?」 「……ほら」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!