ラスピラズリが降る夜に

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***  ラズはいつも笑顔で、時計台に現れた。母親病床で起き上がれない時も、父親の盗難で牢屋に入れられた日も何でもないような笑顔を浮かべて僕を見た。  僕は彼女のために何が出来るのかを考えた。  父親を改心させる魔法は使えない。人や魔族の気持ちを変えることは魔法ではできない。じゃあ、涙の雫「ラピスラズリ」を渡せば彼女の家は裕福になり、母親も病気の治療が出来るかもしれない。けれど、それをしてしまうと必死になってラスピ狩りから逃げているのに居場所を教えてしまう、自殺行為に近い。  母親の病気を魔法で治療する事はできる。こっそり病院に行って、ラズの母親に会えば魔法をかけられるだろう。しかし、病院のある街の中心部はラスピ狩りをする星警官が多く居るため、中々、行動に移せないでいた。
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